ニュージーランド人教師交流 日本語熱冷める 予算削減、最後の研修?(産経新聞)

 関西の国際交流団体が行ってきた、ニュージーランド人日本語教師の来日研修が中止の危機に陥っている。資金を出してきたニュージーランド政府系基金が、拠出中止を通知してきたためで、今のままでは今月17日まで滞在している6人が「最後の研修生」となる。予算削減が理由だが、背景には日本語人気の低下という日本にとっても看過できない事情があった。

 大阪府田尻町のりんくうタウンにある国際交流基金関西国際センター。ニュージーランドで11〜13歳の子供が通う学校などで、日本語を教える教師が滞在、日本語指導法の研修を受けている。茶道や書道などの伝統文化体験、京都見学や小学校訪問、ホームステイなど日程は盛りだくさんだ。

 オークランドから来たセーラ・カーさん(24)は、わずか3万5千円の自己負担で参加できる研修をチャンスと考え、参加した。「日本文化について質問を受けても答えられないことがあったが、体験すれば自信を持って話すことができる」と言う。

 研修は2006年、政府系のアジアニュージーランド基金が資金を出し、関西ニュージーランドセンターが受け入れ実務を担当する共同事業として行ってきた。1人あたりの費用約44万円の大部分を補助する。同センターは大阪のニュージーランド総領事館が00年に閉館したあと、同国と関西の関係継続を願って研究者ら民間人がつくった。

 しかし同センターは、アジアニュージーランド基金から、今後の基金からの拠出はできないと告げられた。国内の経済状況が好転しないことによる予算の削減が理由だった。

 一方、ニュージーランドでは1980年代後半に高まった日本語熱が、近年冷めつつある。同国教育省によると、2000年に初等学校の日本語学習者は2万3051人で最多だったが、09年には1万7647人でフランス語とスペイン語に抜かれて3位に転落した。中高等学校でも同期間に2万315人から1万7304人に減少、首位のフランス語が逆に増加したという。

 こうした日本語人気の低下は他国でも同様で、米国の言語調査機関が1997年と2008年を比べた外国語教育実施率では、初等学校で3%から1%に、中高等学校で7%から3%に減少している。かわって人気を伸ばしているのが中国語で、米国でも1997年から2008年にかけて初等学校で0・3%から3%に、中高等学校で1%から4%に増加。ニュージーランドの初・中高等学校でも、00年から09年にかけて倍増し、初等学校では5千人に迫る。研修参加者のレイチェル・スペンサーさん(35)が教える学校でも、中国語選択者は日本語に並ぶ約120人。「仕事に役立つなど将来的なことを考えて中国語を選ぶ生徒が増えている」と言う。

 同センター理事長で京都大学大学院農学研究科の加賀爪優教授(地域環境経済学)は「日本と関係を持ちたいという動機がニュージーランド側で以前より薄らいでいることは否めない。これまで続いてきた交流なので、スポンサーになってもらえる理解ある企業を探したい」と話している。

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